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議会と代議員


 あなたがもしまったく新しく国をゼロから創ると仮定して、憲法を草起する責任を負わされたらどうしますか?
まず国会など国の重要な機関を憲法上どのように定めたらいいのか悩みますよね。
この記載を誤れば国は実運営上支障を来たすことになるでしょう。つまりあなたの責任は重大です。
ということで、ここからは国のさまざまな機関について、どう位置づけるか、どのような機能と権限をもたせるか、どう責任を負わせるのか、あくまで個人の自由な考察のもと試行してみる。のも面白いと思います。
ではまずは、国権の要である議会(国会)について考えてみましょう。(注)
(注) 以下については日本またはどこかの国の体制について述べているわけではありませんのでご注意ください。あくまで青山の創作です。

【条文例】 議会は一院をもって唯一の議会と定める。
 欧米の主要各国は大概二院制です。ご存知日本も二院制です。ただ二つある必要性って何でしょうか?一つじゃ何がまずいのでしょうか?(補足1)
(1)代議員
・議会は定められた定員による複数の代議員によって構成される。
 国民の意思を多数反映させるためには代議員の数は多ければ多いほどいい。たとえばもし1万人いたらどうなるか、それぞれがバラバなことを言って会議は収拾つかなくなるでしょう。欧米諸国をみると議員の数は大体500人前後です。なぜ500人なのか?経験上議事を運営する上での最大数と思われます。ただ個人的には多すぎるような気がします。議員はただのお客さん(趣味で議会に参加している。あるいは言われたことだけをやる一般職員のような、その他大勢の人間)じゃありません。それぞれが意志と個性をもった主体的存在です。だから自分の主張を通すためには命を掛ける。したがって討議も戦場のように白熱します。議員さんがしっかり仕事をしてくれるのなら、代議員は少ない方がいい。(補足2)
ということであくまで個人的な思い込みですが、500人の半分の250人程度がよい?かと。
・代議員は自国に国籍を有する者に資格が与えられる。
 ただし、諸外国では地方議会に限っては外国人の参政権も認められるケースが一般的になっています。
・代議員は国民による選挙によって選出される。
 選挙については、たま別途。
・代議員については任期を定めること。
 任期を定めずに議員が辞めたいときまで続けられるなら、選んでみたら実は馬鹿だったというような議員に、いつまでも税金を払い続けるという由々しき事態が発生します。世の中は目にも止まらないスピードで変化しています。それに伴い国民の声、世論も変化する。新しく選挙権を手にした者にとって好ましくない年寄り議員がいつまでも居座る状態では、若者たちは不満をくすぶらせることになるでしょう。つまり国民にとって任期は短ければ短いほどいい。でもあまりに短すぎると任期中に何もできずに終わってしまう。国会の場合、2年から3年というのが妥当でしょうか?(補足3)
(2)議長
・議会の運営は議員以外から指名された議長によって行われる。
 議長は首相によって指名され、議会運営のすべての事項について責任を負う。さらに首相についで国家を代表する立場です。
(3)首相
・議会は代議員の中から国家を代表する首相を指名する。
 首相は元首と違ってあくまで国民の中の代表者。個人の意思を持たず国民の意思を代弁する立場です。(補足4)
(4)本会議と委員会
・議会には、全代議員が出席し議長のもと議事堂にて討議する本会議と、特定の代議員が出席し専門分野ごとに討議する委員会がある。(注)
(注)これを委員会主義という。
・代議員は本会議および委員として参加している委員会には原則出席しなければならない。
 委員会は役割に応じて、立法委員会、予算委員会、行政監査委員会、司法監査委員会、議院運営委員会、外交委員会等が常設されます。
・首相を除く代議員は一つ以上の委員会に所属しなければならない。
 どの委員会に所属するかは代議員の選択によります。もちろん複数の委員会に所属することもできます。委員会の委員になって初めて発議、討議、審議および採決に参加できるのです。委員でない者でも採決を除き参加できます。
 その他に首相が必要と判断した場合設置される常設委員会では賄えない特殊な事案を討議する特別委員会があります。
 委員会の下にはさらに細かい専門分野について討議する小委員会を設ける場合もあります。(特に立法委員会のもとには、行政府の各省単位に小委員会を設けた方が機能的です)
 委員会の議事運営は委員の中から選出された委員長によって進められます。
・委員会および本会議は定期および不定期に開催され、会期はない。
 日本では会期を設けています。会期中に可決できなかった議案は廃案になるのです。会期がなければ審議は永遠に継続されるのです。
・委員会にて可決された事案は、本会議に提出される。
 議案(法案を含む)は本会議で可決されて初めて成立となります。
 本会議では原則委員会から提出された議案、および首相から提示された議案が優先的に審議されます。
・代議員は原則任期終了まで辞任することができない。辞任する場合は議長の許可が必要である。
 本来議員は任期が終わるまでは辞めることができないのです。勝手に辞めたら、選んでくれた国民の意志を裏切ることになるからです。ただし止むを得ない事情(病気などの理由)により任期中に辞職する場合は、選んでくれた国民に対して「辞めてもいいですか?」とお伺いを立てる。「駄目だ」と言われれば仕方なく続ける。それが筋ですが、実際は議長に許可をもらうのが現実的。
・代議員は原則任期終了まで解任されることがない。ただし議長の判断により職務を停止されることがある。
 ある一人の代議員のことが気に入らないからと言って、他の多数派の議員たちが示し合わせて辞めさせることができたとしたら、それは民主主義の崩壊です。それは、この議員を支持した国民の意思を踏みにじる行為に当たります。従って不祥事を起こした議員でも、簡単には辞めさせられない。

■議会の大まかな役割
(1)法律の制定
(2)すべての(国政に関わる)行政機関の監査、行政官の監視、ならびに結果の報告
(3)最高裁判所の監査、判事の監視、ならびに結果の報告
(4)議院の運営、代議員の監視ならびに報告
(5)外交に関する全権
 議会は行政府、裁判所などの公的機関に対して、その実態を監査する権限を持っています。また議会の場で公開で証人喚問も行われます。すべての行政官、および裁判所判事は、それを拒むことができません。(その際民間人も証人として出廷を依頼されることがある)

■代議員の権限
【法令案】
・代議員は公費で特別調査員、専門秘書、その他スタッフを20人以上雇用できる。
 代議員というのはいわば会社の経営者と同じです。そのために片腕となるスタッフを手足のように使い実績を残さなければ次期選挙で評価されません。その点日本の代議士は力不足、予算不足、実績不足。
・代議員は(海外視察などの旅費を含む)調査費、調査のための必要経費を(原則無制限に)請求できる。
 ただし海外に奥さんを連れて行くのは厳禁。(奥さんだけ自腹で行くなら話は別) もし見つかったら経費の100倍を返還してもらわないと。家族だから良いといったら、親戚のおじさんも、近所のおばさんも、ペットの犬もただで海外に招待できます。
 代議員の給与は議会で決定されるが、すべての議員は同一賃金であり、かつ国の民間企業に勤める一般社員の平均給与を基準としている。つまり公務員(行政官)の方が給与が高い。議員さんは平均賃金。だってお金のために議員になったわけじゃありませんから。もちろん国民の幸せのためですよね。だったら給料なんかどうでもいいでしょ。ただ議員にも生活がありますから、それなりには出ます。それに対して役人はその能力を金で買われた訳だから、優秀なあるいは実績を残した者に対して、それ相当の報酬が与えられてもいいのです。だから官僚は金のため、議員はあくまで国民のため。官僚は国民のためなんて見え透いた嘘はつくな。議員は仕事に必要な経費は湯水のごとく使えても自分の給料はあくまで平均値。「こんなに国のために働いているのに安サラリーなんか我慢できない」なんて文句を言う人には、「不満なら、どうぞどうぞ辞めてください。あなたが辞めてもやり手はいくらでもいますから」。(補足5)
・代議員は(24時間365日の)行動記録、および(1円(1セント)単位の)経理記録を議会および国民に報告しなければならない。
 議員は必要経費を(原則)無制限に使えるとしても、何のためにいくら使ったかを報告しなければならないのです。もし1円でも無駄使いするようなことがあったら国民から徹底的に首を絞められるし、議会で他の議員から(辞任に追い込むまで)執こく追及されるでしょう。
・代議員は議会が承認した公費以外から給与が支払われることはない。
 代議員は何をやってもいい。代議員のやることはすべて政治活動とみなされるのです。だから国から給与が支給されます。たとえばテレビに出て漫才をやってもいい。ただしテレビ局からギャラをもらうわけにはいきません。1円でももらったら収賄という犯罪になるのです。
・代議員は公費で自分の選挙区に(国民からの政治要望を聞くための)事務所を開設したり、公費で全国民に実績報告を作り送付することができる。
 「私は国民のためにこんなすごいことをやりました」という実績(自慢)報告。
 以上のように代議員にはさまざまな特権があり、次期選挙でも有利です。アメリカ連邦議員にも見られる傾向ですが、現職が安定して仕事をこなしていれば、新人がそれに打ち勝つことは難しい。ただし現職が政治的ミス、たとえばスキャンダルを一度でも起こせば、もはや現役引退に追い込まれ、政界に復帰することはできなくなります。そういった厳しさが特に日本の代議士にはない。不祥事を起こしても数年間の沈黙(休養)を経てまた出馬することが度々。甘いという他ない。しかしそれは政治家が悪いのではありません。あくまで有権者が愚かなのだと思います。

最後に国民審判について。
■国民審判
【条文例】 議会は行政府または司法府に対して、法律内の事項についての改善命令を発出することができる。行政府または司法府がその命令を拒否した場合、議会の採決を経て、首相は国民あてに国民審判を求めることができる。
・国民審判が要求されてから、20日以降30日以内に国民審判が実施される。
・国民審判で議会側が勝利すれば、議会は解散される。再選挙後、行政府または司法府の長を再指名できる。行政府または司法府が勝利すれば、議会は解散せず、行政府または司法府の体制は維持される。
・行政府と司法府が意見対立した際、議会はその調停を行う。それでも対立が収束しない場合は、議会により判定を下す。
 三権が対立し政治的な混乱が生じた際、事態を収拾するために、その判定を国民に委ねるのです。審判の要請は常に国民の代表である首相から要請されます。国民からイエスまたはノーといわれたら仕方がない。国民が主権者ですから。

(補足1) 多様な国民の意見を取り入れるという目的なら、二院制にも意味があると思います。ただし任期と選出基盤が異なること。
≪例≫
@上院 任期4年 定員150名 全国を一選挙区とした大選挙区
A下院 任期2年 定員250名 地域を一選挙区とした小選挙区
下院優越。

(補足2) そんな命を掛ける熱血議員なんかほとんどいない。熱血になるのは選挙の時だけ。大半は党の方針にひたすら恭順する無気力?議員。

(補足3) 代議員の任期2年というのは短い感じがします。ただし、まじめに仕事をすれば再選も可能。努力によって何期にもわたって議員を続けられるなら、結果大きな成果を上げることも期待できるでしょう。ただし実績を上げられない者はすぐに後退(落選)させられてしまう。その仕組みが議員の質を高めるのです。

(補足4) 通常「首相」と言うのは政府の責任者を指します。普通は行政府の長ですね。その「首相」の上に国家全体を統括する国王とか大統領とかがいる感じ。ただし国家を統括する者を国民一人ひとりとしたら(これが国民主権)、その国民の下に政治の責任者として首相をおいている形がこれです。

(補足5) 日本では法律により、議員の給与は公務員よりも高くすると決められています。だからもしかしたら金のためだけに議員になった愚か者もいるかもしれません。議員の質が低いのもこのためかと・・・。もし議員の給与を下げれば、自分の利益のためではなく、本当に国民のために働く良い議員が増えるかもしれません。議員と官僚の質的な違いは、議員はやる気、官僚は才能。

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