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憲法とは


 前コラムでも話したとおり、憲法がない国家は国家とはいえないと思います。おとぎの国じゃないですから。
では、憲法とはどういうものか?知っているつもりでも、再度考えてみるのもいいかもしれません。逆に知らないと大変なことになります。

■憲法とは
・憲法とは国家の基盤、最高理念が明文化されたもの。
・憲法の効力は国内、国外のいかなる法規・規制にも優越する。(ただし、憲法の影響範囲は、自国の領土内に限る)
 国内のいかなる法律(条例・制度を含む)も憲法の記載内容と齟齬(言葉としての矛盾)が認められた場合には、その効力は失効するというわけです。
もし憲法と国連憲章が内容的に相反する場合は、(たとえ国連憲章であっても)憲法の効力の方が優先されるのです。ただしその効力が国外にまで通用するわけではない。
・憲法の批准には、国民の総意が必要である。
 現憲法が総ての国民から支持されているわけではありません。たとえば「日本国憲法」。成立時点で全国民が国民投票したわけではありません。また憲法が成立した後に生まれた子供はそれを否決することができない。総ての国民が納得する憲法を制定することなど現実問題不可能です。ただし、いかなる国民においても、例え全条文の一字一句までを容認することはできなくても、自己の良心に従いその大要について賛意を持つことが可能ならば、その憲法の(あくまで)理念は認められたとみなされる。という考え方もあります。
・最初に、自国とはいかなる国家であるかをまず規定していること。
 この国を他の国と区別するためには、国を固有付ける何らかの印象が必要です。たとえば国歌や国旗がそうですが、それ以上に基本的なものとして、やはり国名があるでしょう。たとえば「日本」や「フランス」と言った国の名前。この地球上に同じ国名を持つ国は二つとないことが肝心です。
・近代憲法においては、最低限以下の3点についての規定が示されていること。

(1)国民についての規定
 国家で最も本質的な要素である「国民」をいかに規定し、とくに国民の権利と義務が必要条件として規定されているかがポイント。近代憲法で必ず記されていることでおなじみのものは、「基本的人権の保障」です。(これについては後ほど)

(2)国権機関および政治体制の規定
 国権機関(議会や政府、裁判所など)や政治体制は、国家の実行上の機関です。これを運用する者は国民自身である。ということ。これを「国民主権」と言います。国民は、これらの機関を運用する、すなわち国を実質的に動かす権利を持つ。権利を持つと同時に責任も持つということです。ここが肝心。ただし全国民がみな首相になることなど不可能ですから、首相にふさわしい者を選出して、その者に実行権を委任するのです。ただし責任はあくまでも委任した国民が負うのです。そうでなければ国民主権とは言えません。(もちろん首相も責任を負います)
 この国権機関とは、よく知られている立法府(国会)、行政府(お役所)、司法府(裁判所)のことですが、これらを三権といい、近代憲法ではこの三権分立を規定するのです。(その話の詳細はまた後ほど。そこでは四権(三権に加え監査機関を設ける)分立を説明します)

(3)外交の基本的立場を明記
 国の独立性(国の主権を他国から侵害されない)をうたい。(補足1) また諸外国とどう付き合うか(たとえば平和、友好的な関係を築くなど)を明記すること。もはや自国一国だけの世界ではない。他国とどういう関係を目指すかを憲法そのものに明記していないならば、国際社会で孤立してもいいということになります。(補足2)

また追加として以下についても規定されていることが好ましい。

(4)非常事態宣言と緊急措置
 以下のような事態が原因で国内が混乱をきたし、諸法が正常に機能しなくなった状態が発生した際、国として非常事態を宣言する。
 @内戦(これには他国による自国の領土への侵攻も含まれる)等により国内の秩序が破壊され、警察力が効力を失う事態
 A大規模災害の発生
 B経済的な混乱による国民生活が危機的状況に陥る 等
 非常事態宣言とは、諸法が効力を失ったとしても、憲法の効力はまだ生きていることを知らしめるために行うのです。それが不可能ならば国そのものが実行力を失う(機能しなくなる)ことになります。(補足3)
【条文例】 首相は、必要と判断した場合非常事態を宣言する。
・非常事態が宣言されると、国権(国の方針、行動の決定権)のすべてが行政府に移管され、行政長官を長とし各省庁をそのものとに統合した組織体制を確立し、行政府は一体となって超法的措置を執る。これを緊急措置と言う。
・行政長官、および各省長官は、必要により議会の承認なしに政令、省令を施行できる。
・行政府は、必要により外交権を含む国権および司法権を掌握する。
・首相は非常事態を宣言してから7日以内に議会を招集して、宣言の承認を得なければならない。
・議会の承認を得られない場合は、非常事態宣言は終了され、行政長官は国権を議会に返還する。
・議会において承認を得た場合は、最長90日の期間内において、緊急措置が実施される。

(5)憲法の修正、改定、失効上の手続き
 憲法の効力が現実問題に対応できなくなった場合、内容の修正、改定、改廃等が行われ、その手続きが明確に規定されていること。
 修正と改定は異なる。修正とは、条文内の文言を修正し、条文そのものは残置されることをいう。改定とは、条文そのものを追加または削除するが、憲法(憲法の名称)そのものは現行のまま残置される。
 修正も改定も、現憲法の効力は維持される。それに対して、失効とは現憲法そのものが効力を失うことをいう。全く新しい憲法に変更される場合は、現憲法にとっては廃止を意味する。憲法の条文に廃止される手続きが明記されている必要があるが、新しい憲法の成立に関しては一切の規定がない。すなわち現憲法には新憲法の内容に関与するいかなる規定も存在しない。
 憲法の修正、改定、失効については、議会議員ではなく国民自身に決定権が認められていること。つまり国民投票により、憲法の変更が行われる。

(補足1) 余談ですが、第二次大戦後の日本は、完全な独立国家と言えるでしょうか?傍から見ればアメリカべったり。何事もアメリカの言いなり。逆らうことなどあり得ない。お金があるから諸外国も一目置くが、果たしてこれで独立国と言えるでしょうか?戦前の反省から、国際的に孤立することを何よりも恐れている感じです。この独立性がない(逆に依存性が強い)ため、外交が下手。島国だからもあるでしょうが、戦前から外交分析が弱い。という感想です。ある意味北朝鮮よりも外交能力は低い。北朝鮮は国内経済はどうしようもないが、諸外国、例えばA国は何を望んでいる。B国は何を望んでいる。各国のニーズを掴んだ上で、自国はこういう政策を取るという分析ができている。即ち他国と対等で独立性を持っている。まあ、外交分析ではアメリカの方がさらに上ですが。アメリカは膨大なプロの分析官を雇い、確かな情報を基に、それぞれが説得力のある分析結果とその政策を立案している。という具合です。ただし、あくまで想像ですが。

(補足2) 青山が小学生の頃社会の教科書に載っていた内容は、「日本国憲法」には3つの柱があって、「基本的人権の尊重」、「国民主権」、「平和主義」というもの。青山みたいに子供の頃まったく勉強しなかった(授業が理解できなかった)人間でも、このくらいのことは覚えています。
ところで憲法には3つのことが規定されていなければならないとしました。「国民とは」、「政治体制はどういうものか」、「外国との付き合い方は」。これらを「日本国憲法」にあてはめてみると、
国民・・・基本的人権の尊重
政治・・・国民主権
外交・・・平和主義
という具合に3つの事柄を(とりあえずは)備えている。ということが解ります。
今の憲法に不満があり、改正して新たに憲法を草起したいと思っている人たちは、まさかこんな基本的なことも理解していないわけないですよね。

(補足3) 緊急措置とは、端的に言って国内のすべての経済活動を停止させるということです。具体的には市民への外出禁止命令、交通機関の運行停止、道路網の封鎖、食料、生活必需品の配給制の施行(市民は収入を得られない代わりに、すべての配給および電気水道ガスなどは無償)、生産部門、流通部門、医療機関、福祉施設の管理掌握、電気水道ガス通信網の維持管理、土地の強制使用、銀行預金、株式等の凍結、そして命令違反者に対する逮捕、拘束。市民の命を守るためにはこのような強権的な非常手段を執ることも止むを得ないわけです。
ただし、情報だけは余すことなくと全てをありのままに市民に伝えること。その情報は当局が一方的に与えるのではなく、市民が大量の情報の中から得たいものを自ら選択できること。ここで愚かな政府が必ずやること、それは情報統制です。これだけは絶対に行ってはなりません。当局が情報を隠すから、デマ情報が流れて社会は混乱するのです。いずれ治安が維持できなくなり、体制は間違いなく崩壊するでしょう。

 以下個人的な意見ですが、憲法は国の骨幹である。だからと言って永遠に変わらないものではない。憲法は決して神から下されたバイブルではないのです。時代により、あるいは国家がおかれた状況の変化に即応して、修正、改正されるのは当前。ただむやみやたらに変えられたら国家そのものが混乱します。それと憲法は国家がこれまで歩んできた歴史性を考慮すべきでしょう。その国にはその国の特性があるわけです。先進国がそれを採用しているからと言って、我が国がただちにそれを真似る必要なんかまったくない。ようは、国民の幸せです。憲法はもちろんそのためにあるのです。

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