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宇宙の未来


 宇宙は約130億年前にビッグバンによって始まり、それ以降膨張を続けていることがわかりました。
さてこの先宇宙はどうなるのでしょうか?
どうなったとしてもそれは今生きている我々、つまりあなたとこの青山にとっては関係ない話です。なぜなら遠い未来に宇宙が消滅しようとも恐らくそのときに我々は生きていないからです。
そんな死んだ後のことなんかどうでもいいでしょ?
でも子孫が生きている。子孫のために、そして人間の未来のために考えなければならない。我々にはその責任がある。
随分偉そうなことを言いますね。我々が道を誤ったからといって、子孫から責任を問われる懸念は不要です。なぜならそのとき我々はすでにこの世にいないのですから。子孫たちがどう我々を非難しようと関係ありません。
逆に我々がこの世を去った後、子孫がもし道を誤るようなことが(人類を破滅に導くようなことが)あっても我々にはどうすることもできない。それは子孫の責任です。我々も子孫も自分ことを考えていればいのです。ただし、(我々がこの世界にまだ生きているとして)今まさに子孫たちが困窮している様を目の当たりにすれば、命に代えても愛する子孫を何とか救おうとするのは人間として当然のことです。
ただ我々が死んだ後はどうすることもできない。そのとき子孫たちが我々に助けを求めて声を枯らして叫んだとしても。
今正に精一杯生きて子孫のためにできる限りのことをしておけば、子孫たちは我々が死んだ後も自分たちの知恵で生きていく。自分の幸せは自分たちで実現する。我々も子孫もそれしかできないのです。子孫たちが大人になったときは、恐らく我々よりも遥かに賢くなっていることでしょう。宇宙の広大さを知らなかった、あるいは人間の平等性に気づかなかった先祖より、我々の方がはるかに賢いのと同じように。

 それはさておき、ここからはあくまで知的好奇心からの考察です。宇宙の未来はどうなるのか?図36「宇宙の未来」を参照ください。
宇宙の未来は、大きく分けて、この宇宙の膨張が止まって次に収縮を始めるのか?それとも膨張はずっと続くのか?の二つです。膨張が止まる原因は、宇宙にある星などの物質(他に光を発しないブラックホールやダークマターといわれる未知の物質)の重力によって互いに引き合い、膨張速度が次第に遅くなって、いずれストップし、今度は収縮を始めるということ。これについては、宇宙を観測して大昔の状態と最近の宇宙の状態を比較し(注1)、どれだけその膨張速度が遅くなっているかを調べれば答えが出そうです。
ところが観測の結果、宇宙は時間が経つにつれてますますその膨張速度を速めていることがわかったそうです。なぜでしょうか?
その原因として考えられているのは、何もない空間すなわち真空がもつエネルギーが空間を広げている。宇宙が大きくなればなるほど真空領域は増えますから、結果ますます加速的に宇宙の膨張が速まっているということ。だそうです。
もし宇宙がこのままどこまでも膨張を続けたらどうなるか?
いずれ太陽などの星は燃料を使い果たして燃えつきます。燃え尽きた灰(恒星が放射したエネルギー)を燃料としてまた新たな星が誕生しますが、このサイクルもいつか終わります。なぜならエントロピーの増加に伴って、宇宙に無秩序が増える。すると、エネルギーが集まってまた星が生まれることが起きなくなるからです。
さらにエネルギーを得られなくなった生物も生きていることができません。つまり子孫を残せなくなるのです。それがどれだけ知性を持った生物でもです。
進化の結果、恐らく現代の人間よりも遥かに高度な文明をもった生命体が現れるでしょうが、エントロピーの法則には勝てないのです。
最後に残ったブラックホールも崩壊します。あの有名なホーキング(注2)放射によって。やがて宇宙はとてつもない広い空間に他と相互作用しない素粒子がぽつんとあるだけの状態になります。ただし、宇宙がここまでの状態になるまでには気の遠くなるような永い永い年月がかかります。
 それとは別にもう一つの宇宙の未来について簡単に話します。この宇宙を加速度膨張させている真空のエネルギーがとてつもなく強力な場合、ある限界を超えた途端、超がつくほど加速度的に膨張して、一気に無限大まで宇宙が広がります。その際星も銀河もブラックホールも、そして生物も、さらにそれを構成しているクォークや電子やニュートリノのような素粒子も、一気に引き裂かれて崩壊します。そして宇宙全体が無になるのです。
そんなことがいつ起こるのかわかりません。明日かもしれない。
つまり宇宙は永遠に続くことがない。その時点で終わりです。もはや膨張もありません。
このように膨張が永遠に続く未来と突然無になる未来のどちらが起こるのか?それもまったくわかりませんが、個人的には後者のような気がします。
その理由は、(科学的ではないですが)我々の宇宙を生み出すためにインフレーションを行い消滅した母宇宙、その宇宙とまったく同じ運命をこの宇宙もたどるような気がします。宇宙には母も子もないのです。(補足)
(注1) 遠い場所を観測することはそれだけ過去を見ていることです。つまり遠方と近くを較べることは、過去と現代を較べることなのです。
(注2) 1942-2018 イギリスの有名な物理学者、難病のために車椅子にのったまま仕事をこなした。ホーキング放射については、図37「ブラックホールからの放射」参照。

(補足) 母宇宙の崩壊の際、熱平衡状態であった部分からあらたな(無数の)子宇宙が生まれました。
すでにマクロ化した我々の宇宙の場合、この宇宙全体が熱平衡状態であることから、それが引き裂かれて無数の宇宙が誕生すると、因果律が破綻します。
唯一因果律が破綻しない方法は、宇宙が無になることです。


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