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相対性理論は間違い?


 相対性理論の話は、高速ロケットに乗って宇宙旅行に出かけると年をとらないなど、我々の常識から外れている精か、いまだに不信を抱かれることが多いものです。中には「相対性理論は間違っている」と主張している人たちもいます。けれどもアインシュタインが提唱してすでに100年以上、その間多くの科学者が何度も検証を行ってきました。技術の進歩により、より厳密な実験も可能になっています。これまでに「相対性理論は間違っている」という事実は何も確認されていません。

もしかしたら、「相対性理論は間違っている」と主張している人たちは、アインシュタインのような科学上の大発見をして世間の賞賛を浴びたいのかもしれません。そのために手っ取り早い方法は、天才アインシュタインが唱えた相対性理論の間違いを見つけて、そうなれば自分はアインシュタイン以上の科学者になれる。それにしては、「相対性理論は間違っている」と主張している人たちは、物理学の基礎が解っていない感じです。粒子の運動や波の性質を理解していますか?日本では高校で勉強することですよ。(補足1)
別にアインシュタインを神様のように祭る気はありません。人間的には偉人ではないかもしれない。
この青山も個人的には、アインシュタインは嫌いな部類です。しかし「アインシュタインが嫌い、ゆえに相対性理論は間違っている」とはならないでしょう。当り前だけど。
解ってほしいことは、アインシュタインは確かに天才ですが、突然変異によって現れた優れた脳を持ち、何もないところからいきなり相対性理論を提示した宇宙人、のような存在ではないのです。
科学ははるか過去から営々と築き上げてきた先輩たちの遺産です。アインシュタインにも当然先駆者はいました。マッハ、ローレンツ(注1)、ポアンカレ(注2)、プランク(注3)など。全く無から新たな発想を産む天才などいないのです。
(注1)1853〜1928 オランダの物理学者、相対性理論のさきがけとなるローレンツ変換が有名
(注2)1854〜1912 フランスの物理学者、数学者
(注3)1858〜1947 ドイツの物理学者、量子力学の基礎であるプランク定数で有名

相対性理論は確立された理論(既定の確立された理論と理論的に矛盾しない。長年検証され事実と反しない)です。しかし、だからと言って絶対正しいとは言えない。前にも言ったとおり科学には「絶対」などということはありえないのです。将来間違いであることが証明される可能性も十分あります。
あらためて科学とは何か?を(くどいようですが)整理すると、
・科学には常識や思い込みは通用しない。
・どんな突拍子もない、常識はずれの説でも、可能性がゼロじゃない限り研究する意味はある。
・科学は本来自由な世界。誰が(ただのど素人が)どんな仮説を立てようが自由。それを政治権力や宗教に妨害させてはならない。
・ただし仮説を立てることが科学ではない。
・科学に権威などない。恐れ多いもの、神聖なものなど一切ない。
・科学と宗教は正反対のもの。
・科学は実験と観察が全て。

アインシュタインの理論は確かにすばらしい。しかし科学は結局実験と観察なのです。その理論がいかにエレガントでも、実験的事実に反するものであれば価値はゼロです。
実際彼の理論を実験で確かめた人は、(知名度は落ちますが)アインシュタインに勝るとも劣らないと思います。
これから科学者を目指すあなた、驚くべき理論を思いつき、それが実証されてアインシュタインのような英雄になることを望んでいる?本当の科学は手足を泥にまみれさせ、汗水たらして一つ一つ積み重ねていくものですよ。実験よりも理論を重視する風潮は科学に憧れる子供たちに悪い影響を与えるような気がします。理論を神のように崇めると、それは科学とは正反対の宗教になります。科学は、実験と観察がすべて、ただの理論家になってはいけない!
考えてみるとアインシュタインもただの理論家ではないような気がします。
彼は数学的テクニックよりも、その数式から自然に対して何が言えるのか、についての洞察力が優れていたようです。それは彼が子供の頃から自然をよく観察し、常に疑問を持ち、絶えず考えを巡らせていたからだと思います。
個人的にはアインシュタインは嫌いでも、彼のこの自然観、そして科学に対する姿勢は賞賛に値するものだと思います。
後に彼は量子力学に反対しました。彼の自然観に反するものだったからです。しかしこれは彼が愚かだったのではなく、それだけ彼の自然観がまともだったことを意味していると、青山個人としては考えています。
相対性理論は難しい。これは一つの誤解です。相対性理論の正しさは、誰もが経験する日常の中にあるのです。決して特異なあるいは高度な理論ではなく、素朴な思考さえあれば、(数学的な難しさは別にして)容易に理解できるものだと思います。それが理解できないのは、あなたが”ある思い込み”をしているからかもしれません。もっと純粋になってみましょう。
最後に、相対性理論について要点をまとめました。図15「相対性理論をめぐる誤った思いこみ」を参照願います。

(補足1) トンデモ本(とんでもない話を集めた本)でよく出てくるものとして、巨大大陸が移動したり沈んだりする話(有名なアトランティスやムー大陸、あるい南極大陸の移動)。これら本気で信じている人たちは、単に科学の知識がゼロなだけでは?南極大陸が一夜にして何キロも移動するためには、どれだけのエネルギーが必要でしょうか?
あるいは地震兵器や気象兵器の話。大地震や津波を人工的に起こしている。バカバカしくて話になりません。いわゆる陰謀論者は頭の構造がどうなっているのか知りたいです。科学の対象ではなくもはや精神医学の対象では?人工的に地震を起こすことなんか、昔から行われていますよ。地下の構造を調べるためにね。そのためにどれだけのエネルギーを使うのでしょう。それに対してマグネチュード9クラスの地震を起こすためのエネルギーはどれくらい?それは水爆(人間が起こせる最大のエネルギー消費)の何個分に相当するのか?桁が違うと思いますよ。計算してみてください。ただの掛け算と割り算ですから。(補足2)
我々は科学的(物理的)にあり得ることと、あり得ないことを見極めなければなりません。そのためには自分で計算するのです。あることが起こるためにどれだけのエネルギーが必要で、そのエネルギーはどこから供給された。そのエネルギーを使った分、別のところでは莫大なエネルギーが減少したはず。その痕跡は?単純に考えればわかることだと思いますが。

(補足2) いわゆるオカルトにだまされないためにも、何かあったら計算して自分で確かめる。そのために電卓を常に手元に置いておくこともいいかも?

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