妖怪物語

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山姥(やまんば)


山に住む老婆である。もとは里に住んでいた女が、どういうわけか山に入ってしまった。全身裸で髪を振り乱した鬼のような顔つきであるが、心根は優さしいらしい。あの力持ちの金太郎を育てたという。
何か人間関係で揉め、里の暮らしに嫌気がさして、山に入ってしまったらしい。人付き合いを拒んで山奥で一人あるいは仲間と生きている。野生動物を生で食し、着るものすらなく冬でも裸の格好である。因みに若い女の場合は「山姫」と呼ばれる。柳田国男の「山の人生」に詳しい。それによるとかつて日本の山には、そのような者たちがいたように記録されている。男も含めて彼らは山人族と呼ばれる。
人との付き合いを避けて一人孤独に暮らしたいと思う者は現代にもいるが、今そのような山人族がいるとは思えない。